JIS A1481 改正
わが国におけるアスベスト含有率の測定方法を定めた日本工業規格【JIS A 1481】が平成20年6月20日に改正・公示されます。
内容は前回の激的な大改定(含有率が1%から0.1%に10倍も厳しくなった)に比べれば地味ですが、変更というよりむしろ増強、補強といった感じが強い改正になっています。
アスベストの分析に限った事ではありませんが、分析というのは作業する人間の習熟度によって多少結果が異なってしまいます。そのへんの誤差をなるべく小さくしようという意図が今回の改訂の主旨ではないかと思います。(明記はされていませんが…)
また、例のトレモライト等の3種類のアスベストが対象に正式に加わったのは当然ですね。でもこの事件があったからこのJIS A1481の改正があったわけではありません。この改正の作業はトレモライト事件がある前から進められていましたから。。。
【改正のポイント】
項目 | 改正前JIS | 改正後JIS | 改正理由 |
---|---|---|---|
適用範囲 |
?対象アスベストは、主にクリソタイル、アモサイト及びクロシドライト(備考)トレモライト、アクチノライト及びアンソフィライトについては解説に記載
?天然鉱物であるバーミキュライトは適用外 |
?トレモライト、アクチノライト及びアンソフィライトも対象に包含(あらためて6種類のアスベスト全部に適用)
?吹付けバーミキュライト(ひる石)にも適用 |
?アスベスト含有率0.1%への規制強化を踏まえ、不純物として含有されるアスベストをより正確に測定できるようにするため。
?バーミキュライトの前処理法が確立され、定性分析が可能となったため。 |
測定方法 | ?一次分析を顕微鏡で行う方法として、「位相差顕微鏡による分散染色法」と「偏光顕微鏡による消光角法」の二つを規定
?二次分析試料の残渣率が0.15以下の場合のみ定量分析を実施 ?顕微鏡による再分析を行うこととする規定 ?吹付けバーミキュライトの分析方法の規定なし |
?「偏光顕微鏡による消光角法」を削除し、解説に記載
?二次分析試料の残渣率が0.15を超える場合には、三次分析試料**を作製し、定量分析を実施 ?顕微鏡による再分析を行う際の対象及び方法を追加 ?吹付けバーミキュライトの分析方法を新たに追加 |
?分析に熟練を要することと分析機関にこの方法が浸透していないため。なお、分析方法としては有用であるため解説に記載。
?残渣率0.15を超えた場合の措置を明確化するため。
?顕微鏡による再分析を行う際の対象及び方法を明確化するため。 ?吹付けバーミキュライトの定性分析方法を追加したため |
注)** 二次分析試料から10~15mgを分取して適量の無じん水に分散
この改正について詳しくは…
(1)日本工業標準調査会のニュース(H20年6月13日)
→「建材製品中のアスベスト含有率測定法のJIS改定について」
(2)新しいJIS A 1481を閲覧するには
→「日本工業標準調査会のJIS検索」
上記ページに「a1481」と打ち込んでPDFで閲覧できます。
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