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アスベストとグラスウール・ロックウールの違い

この話題は皆さまからいただく質問のなかでも、かなりスタンダードなものです。
ロックウールやグラスウールは見た目が繊維なのでアスベストと区別がつきにくく、混同しやすいんですね。
建築関係の方でも明確に違いが分かるかと聞かれたら、ちょっと困るかもしれません。

アスベストがいかに危険かは先刻ご承知でしょうし、グラスウールは名前からしてガラス製品⇒身近なもの⇒なんとなく安全、と連想できるでしょう。
でもロックウールって何?
鉄工所から出るスラグや岩石を原料に作られると聞いても、ピンとこないという人は多いはず。

最初にお断りしておきますが、ロックウールとグラスウールについてよ~く知りたい方は、それぞれロックウール工業会と硝子繊維協会のWEBサイトに詳しく書かれていますのでそちらをご覧ください。
(協会さんは下手にリンクを張るとクレームがくる事があるので、ご自分で検索して下さい…;^_^)

ここでは次のような点を心がけて説明しています。

・小難しい理論はなるべく簡潔に、あるいは書かない。
・しかし実際の現場での見かたについては詳しく書く。

理屈より現場。
実際どうなんだってことを重視します。

そこで最初の素朴な疑問。

Q:そもそもロックウールやグラスウールは、アスベストと違うものなのですか?
A:もちろん3つとも違います、ただし単体としての建材に限って。

いきなり普通じゃない答えでスミマセン、もっと詳しく説明しましょう。

まずあらためて申し上げますが、これら3つは全く異なる物質です。

たまにアスベストがロックウールの一種だと勘違いされている方もいるので念のため。
漢字表記だとアスベストが「石綿(せきめん or いしわた)」なのに対して、ロックウールは「岩綿(がんめん)」ですからね。
見た目も結構似ていたりするので紛らわしい事この上なし。

ここで3つの違いを簡潔に区別しておきましょう。


・アスベスト(石綿)は天然の鉱物繊維。結晶質で繊維が細く発がん性がある。
・ロックウール(岩綿)は人造の鉱物繊維。繊維が太く発がん性はない。
・グラスウールはガラスでできた人工繊維。建材製品は繊維が太く発がん性はない。

アスベストとの違いは、ロックウールとグラスウールは人工的に作られた繊維で発がん性がないって事です。

なんで天然だとダメで人工だといいの?とか、繊維の太さがどう関係してるの?とか、グラスウールやロックウールだって少しは健康に影響あるんじゃない?とか、そんな疑問には答えません(笑

お話ししたいのは「単体として」ってところです。
3つとも全く違う物質だっていうのは、あくまで「単体」として。
現場でアスベストが単体で使われているのはむしろ稀なのです。
アスベストがほぼ単体で使われているのは「石綿吹付け(吹付けアスベスト)」や「石綿保温材・断熱材」、「石綿耐火被覆板」、「石綿パッキン材・目地材」ぐらいです。(これらとて100%のアスベストではありません。)
「奇跡の鉱物」とすら呼ばれたアスベストは非常に優れた特性を持っているため、数え切れないほど様々な建材に原料の一部として混入されたのです。

これは建築建材全般に言える事ですが、建材は何かと何かが混ざった混合材であったり、隣り合わせに接して使われることで、結果的に複合材のようになっている事が非常に多いのです。

ロックウールとグラスウールとアスベストの関係も全く同じことが言えます。


グラスウールにはアスベストが混入された建材はありませんが、ロックウールにはあります。
またグラスウールにもアスベスト含有建材が接して施工されている場合があるので注意が必要です。

現実は解説書と違ってそう単純ではないのですね。

そこで第2の疑問がわいてきます。

アスベストとロックウール・グラスウールはどうやったら見分けが付くのか?

…ってことです。

これについては長くなったので次の記事に詳しく書くことにします。