調査事例
ゾノライトとミクライトのアスベスト調査

その吹き付け材は、図面上「ゾノライト」と記されていて、現場では二重天井で囲い込みが施されていました。
結果は黒。
このゾノライトにはクリソタイルが6%以上も含まれていました。
だからといって、今回の現場はきちんと対策が施されているので特に問題はありません。
改修工事などで触るときには法規制にのっとった手順が必要ですが。。。
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そもそも、ゾノライトとは?
たまに「ゾノライトというのはアスベストですか?」というようなお電話をいただくのですが、正確に答えようとすると、ちょっと困るんですよね。
ゾノライトというのは建材の分類上、バーミキュライト(ひる石)吹き付け材のひとつ。
耐火や吸音の機能があり、天井や(まれに壁の)仕上材として2ミリ~4ミリ程度吹き付けあるいはコテ塗りされています。 -
ちなみに、ひる石とも呼ばれるバーミキュライトは園芸をやっている方ならよく御存知の物質で、焼成すると膨らんで「ひる」のような形になることからこの名前が付いています。
現在市販されているバーミキュライトはアスベストが含まれない南アフリカ産のもので安全なのですが、往時世界最大(シェア8割以上)のバーミキュライト産出鉱山であった米国モンタナ州のリビー鉱山から生産されたバーミキュライトは「不純物として」アスベストを含んでいました。
このリビー鉱山は多数の被害者を出し1990年に閉山しましたが、産出したバーミキュライトは耐火吹き付け材の「ゾノライト(Zonolite)」として世界的に有名な建材で、日本でも流通していました。 -
日本の建築図面に「ゾノライト」と書かれている場合は、一般名というより商品名であることが多いようです。
ゾノライトは、なぜか国交省など公的機関が出しているデータベースには未だに含まれていないのですが、1975年くらいまでバーミキュライト・オブ・ジャパン社より「ゾノライト吸音プラスター」という商品名で供給されていたようです。
この商品に含まれていたバーミキュライト(ひる石)にはそれ自体に不純物としてアスベストが含まれており、なおかつ、アスベストを少量加えて製造されていたということです。 -
まぎらわしいのは、ゾノトライト(Xonotlite)という物があり、こちらは日本インシュレーション社が昭和41年に開発した無石綿けい酸カルシウムのことで、環境対応型の人に優しい建材です。
使用目的も同じ耐火被覆だったりするので、間違いやすいですが、全く異なる物です。
最初の質問の答えになりますが、「それがもし、ゾノライトという商品名の建材であるなら、ゾノライトがアスベストであると言うより、その商品の中にアスベストが含まれている可能性は高い」となります。 -
こちらのほうは、公的機関のデータベースに掲載されています。
製造年によってアスベストの含有量が異なり最高24.4%、最低4.6%含まれています。
平成元年(1989年)に無石綿化され、平成7年(1995年)までの約7年間、アスベストを全く含まないミクライトも製造されました。
このミクライトも「ミクライト質石灰岩」という物があり、(もちろん全くの別物)まぎらわしい点でも共通してますね。
なかなかバーミキュライト吹き付け材についてまとめてある文章が無いものですから、僭越ながら私などが書き記してみました。
ではでは
P.S.ゾノライトやミクライトのアスベスト含有調査はおまかせを!
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